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ふたたび棘下筋について - 大橋
2012/04/22 (Sun) 08:39:59
ご無沙汰しております。前回は、棘下筋について御回答いただきありがとうございました。その棘下筋について誤解していたのではないか?と思えてきましたので、しつこいようですが書いてみます。
Feltner&Dapena1986には、二頭筋の役割に関して、
"The risk of injury would force the pitcher to limit the speed of the ball prior to release. The pattern actually used by the pitchers may be a good solution to this problem: by stopping the extension of the elbow before the attainment of full extension・・・"
とありますが、棘下筋が、二頭筋と同じように、急速な肩内旋を抑えるために働くと考えるのは間違いではないでしょうか?
多くの日本人の投法では、肩内旋に続いて肘伸展で加速する時期があります。これは肘伸展トルクの数値が、F&D1986と先生のデータで著しく違うことからもわかります。
その肘伸展をサポートするのは肩内転トルクですが、その場合、肩内旋トルクは邪魔になります。そこで広背筋、大円筋の内旋を相殺し、内転を引き出すために、棘下筋の収縮がある、と考えました。
肩内旋で投げ切るアメリカの投法については、フォロースルーで肩内旋角速度を抑えるために棘下筋が使われるのかもしれません。しかし、F&Dの内旋角速度が、リリース時、約9000°/sなのに対し、先生のデータでは約3000°/sであり、しかも加速期後半で鈍化しています。日本人はアメリカ人と違うことをやっているということです。
極端な話、Gowanら1987では加速期に棘下筋は使われません。これは、肩伸展内転で投げ切る特殊な投法だからで、リリース後も内旋トルクが続くはずです。
日本にもアメリカにもあって、たとえば、甲子園の優勝投手。
http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&NR=1&v=jlUsjhZwe2U
サンディー・コーファックス
http://www.youtube.com/watch?v=wDgMXFBHLP0
Gowanの被験者が偶々この投げ方だったわけですが、先生のデータから投球における棘下筋の役割を安易に引き出すことを戒めています。
御感想をうかがえれば幸いです。
ありがとうございます - 大橋一弘
2011/10/14 (Fri) 12:00:45
御礼が遅くなってしまい、申し訳ありません。
「筋電図に依存してない」とは驚きました。筋骨格モデル恐るべし!これまでの筋電図法による研究を動作解析法によってチェックする時代なんですね。
・・・ということは、その他の筋肉についても同時に算出されるということでしょうか?さらに各関節トルクへの寄与が詳らかになれば凄い。三角筋後部あたりは是非知りたいところです。関節力、関節トルクは平均値(ですよね?)でも、活性度はかなり高いのではないでしょうか?
つまり、18人の被験者の中には、まったく使わないタイプ(Gowan1987、例えばマダックスhttp://www.geocities.jp/tokyomarlin/maddux.wmv)と使うタイプ(風井1976、例えば野茂http://www.geocities.jp/tokyomarlin/nomo1.jpg)が混在しているが、肩水平外転値、肘伸展値から、三角筋後部を使う者の方が多いのではないか?ということです。
ところで、先生のデータにある『加速期における肘伸展値』についてはいかがお考えでしょうか? 私にとっては、今や、心の支えです(笑) これまでの動作解析法による論文で、「肘伸展値を得た」と記載したものがあったでしょうか? 論文になさるお積りはないのですか?
お褒めにあずかり光栄です - 大橋一弘
2011/09/28 (Wed) 10:48:19
・・・と言いたいところですが、誤解していました。先生のデータでも、リリース直前で肩外旋値になるんですねぇ。
肘伸展については、同じ局面で屈曲値になるものの二頭筋に目立った収縮がないことから、棘下筋についても何かの間違いじゃないか?と思いました。金子文成2005では実際に収縮があるのですが、俄かには信じがたく、質問させていただいたのです。
肩外旋に働くのが棘下筋、小円筋だとすると、外旋値から当然収縮があるべきで、例えば風井論文についても、リリース直前に収縮があると考えるべきなのでしょう。「骨頭を求心位に保つ」という目的や「時定数」も考慮すべき重要な点だとわかりました。
いずれにせよ、タイミングは明らかにすべきでしょうね。F.Jobeの棒グラフと同じレベルになってしまいます。
筋電図法の信頼性についてですが・・・・・
アルゴリズムのところに、逆動力学で関節力、関節モーメントを求めた後に、筋活性度(筋電図)を用いて筋張力、関節間力を求める、とあります。既知のいくつかの筋肉についての筋活性度から未知の筋肉の活性度を算出する、ということでしょうか? またその際、関節トルク同様、筋活性度も平均値を使うのでしょうか?
素人の憶測ですが、そうなると、筋電図データに対する依存度はかなり高いと思うのですが・・・?
あと、『体育の科学』7月号の記事を読ませていただきました。内容については難しいのですが、「凄いことがわかりつつある時代なのだ」ということはわかります(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=BhNmUv4XkyU&NR=1
この投手はT・リンスカムというプロの投手を真似ていますが、非常に出来がよく、これなら関節トルクも似たようなものになると想像します。やはり、コンピューター・シミュレーションを使っているのでしょう。
アルゴリズム - ishii
2011/10/01 (Sat) 22:59:26
アルゴリズムのところに、逆動力学で関節力、関節モーメントを求めた後に、筋活性度(筋電図)を用いて筋張力、関節間力を求める、とあります。既知のいくつかの筋肉についての筋活性度から未知の筋肉の活性度を算出する、ということでしょうか? またその際、関節トルク同様、筋活性度も平均値を使うのでしょうか?素人の憶測ですが、そうなると、筋電図データに対する依存度はかなり高いと思うのですが・・・?
お答えします。
このアルゴリズムで最も鍵となるのは筋活性度です。
筋活性度は初期の時点ではまったく分かっていません(未知です)。したがって未知数は非常に多いです。
そこで数学的最適化手法を用いています。
「筋活性度の2乗和→最小」という目的関数を用いて、これを満たすすべての筋の筋活性度の組み合わせを求めていきます。今回掲載されているデータは筋電図の情報は一切はいっていません(筋電図には依存していません)。
棘下筋について - 大橋一弘
2011/09/24 (Sat) 13:52:40
「インナーマッスルの筋活性度」の項を読ませていただきましたが、棘下筋の「加速期に最大に活性し」のところに違和感があります。
風井1976では放電がありませんし、DiGiovine1992でも、多くの場合、最大活性はレイトコッキング期でしょう。金子文成2005が近いようですが、他にネット上で見られるデータはあるのでしょうか?
Re: 棘下筋について - ishii
2011/09/26 (Mon) 19:26:53
するどいご指摘ありがとうございます。
申し訳ないですが、このネット上では個別に文献を紹介することは避けています。
ご了承ください。
ただ、確かに「加速期に最大に活性し」だと違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。
「加速期後半に最大に活性し」のほうがよいかもしれません。
その理由ですが、
加速期において、肩関節は内旋の角加速度が急速に増大し、リリース直前から急激に減速します。また加速期においては、上腕骨頭にはせん断方向の力が大きくはたらきます。
棘下筋はその角加速度を減少させることと骨頭を求心位に保つことの両方に寄与していると考えられます。
この筋骨格モデルでは「時定数」というものが設定されており、筋肉が活性してからごくわずかに遅れて筋肉に張力が生じるようになっています。
棘下筋はリリース前後から筋張力を最大級に発揮するわけですから、筋活性度は時定数の影響でその少し前に最大級に活性します。
なので、
「加速期後半に最大に活性し」のほうがよいかもと思っています。ご指摘ありがとうございました。
筋電図は測定方法、条件によってばらつきの多い検査であり、その信頼性もまちまちですから、筋電図のみでの評価やそのすり合わせについては私はそれほど重要視していません。(もちろん、参考にはします)
なので上記のように、総合的に判断しています。
お忙しいところ丁寧な御回答痛み入ります - 大橋一弘 URL
2011/06/25 (Sat) 13:08:35
先生の論文を(第2章まで)ざっと読ませていただきました(ただし、体系的に学んだ経験はありません)。なるほど、関節トルクは筋骨格モデルを使ったものなんですね。それでも、この数値を見たときの興奮は収まっていません(笑)
ご承知のように、風井ら1976には「非連続型は前額面内で上腕を後方向へ力を入れながら内転動作を行う放電様相を示した。連続型は・・・離球時には非連続型と同じように・・・」とあり、それが先生のデータにはっきりと出ているじゃありませんか!
一方、例えば宮西智久氏の記事などでは、「肩の90°外転位を保ちつつ、体をひねって投げろ」というような、Feltnerに基づいた記述があります。というか、Feltnerのデータはそのような、アメリカにおける一般的な、投法を反映していると言うべきでしょう。
Feltner1986との著しい違いは、風井論文が存在するからには、「仮定の違い」はあるにしてもそれほど大きな影響はなく、『投法の違い』を窺わせるのに十分だと考えたいのです。
私は、ストラスバーグ事件はアメリカでも重く受け止められていると見ます。ですから、ダルビッシュのストラスバーグについての言葉、言い換えれば、「肩肘に負担の掛かる投法とあまり掛からない投法がある」という見方を重視したいのす。先生はデータ(たとえば肘外反トルク)をお持ちなのですから、コメントなさってはいかがでしょうか。日本一の投手の言葉を取り上げれば、現場と研究者の風通しもよくなるでしょう。
筋骨格モデルを使って関節間力が算出できるというのも夢のような話ですが、現在喫緊の課題は上に述べたような『投法』の問題です。それなら、(剛体リンクモデルであったにせよ)Feltner1986と先生の関節トルクを比較すれば十分で、風井論文の非連続型のような、上肢帯を挙上・下制する投法はともかく、ダルビッシュのような連続型なら問題ないと思いますが、いかがでしょう。
それから、先生のデータで、「リリース時の肘関節トルクは伸展値」というのも間違いないですよね?
質問よろしいでしょうか? - 大橋一弘 URL
2011/06/23 (Thu) 12:51:34
動作解析法で投球のデータを取ると、「Feltner&Dapena1986とだいたい同じ」が通り相場らしいけど、先生の場合は全然違いますよね?
Re: 質問よろしいでしょうか? - ishii
2011/06/24 (Fri) 05:01:53
書き込みありがとうございます。
まず、念頭におくべきことは、
こうしたバイオメカニクスのさまざまなデータ(特にkinetics)は「多くの仮定」に基づいた「推定値」であって、「実測値」ではないことが多いと思います。
逆にいえば、現行では「実測値」を得ることが技術的にも倫理的にも難しいため、いままでさまざまな「推定」を行ってきているのだと思います。
すると、仮定や条件設定によって、その「推定値」の結果はおおいに変化します。
しかも、~この「推定値」が本当に「真の値」なのか?~
それを証明するのは非常に困難と思います。
したがって、私は解析した「推定値」を過去の文献と比較することはあまり重要視していません。(参考にはしますが・・・)なぜなら、条件設定、仮定の設定が自分と同じとは限らないからです。
私が重要視しているのは、以下のことです。
動作から解析した「自分の手法の推定値」が、実際の投球障害の現象(例 MRI上の病変、発症の有無など)とどのくらい関連性を持っており、その「自分の手法の推定値」を用いることで、障害の予測にどのくらい役立つのか?
今後、バイオメカニクスが発展していったとしても
~どの解析で行った「推定値」が、「真の値」にどのくらいに近いのか?~
という命題の答えはなかなか出てこないでしょう。
しかし、その「推定値」と「実際の現象」とについて統計学解析をすることで、実際の現象を予測し、現場に役立てることはできるのではないかと考えています。
こうした考えのもと、いろいろとチャレンジしている最中です。
活字だけの回答ですので、質問にうまく答えていなかったり、誤解を生んでしまったりすることを少し懸念していますが、その点ご了承いただければ幸いです。
ストラスバーグについて - 大橋一弘 URL
2011/05/26 (Thu) 13:51:43
はじめまして。ひとつうかがいたいのですが・・・
日本ハムのダルビッシュがTwitterで、史上最速投手の呼び声が高いストラスバーグについて、「かれは投げ方が悪いから肩を壊す」と言いました。そしたら本当に肩肘を壊し、トミージョン手術を受けたのでした。
このことについて、先生はどうお考えになりますか?
投げ方は下にあります。
http://www.youtube.com/watch?v=xHU87ZWqGyo
Re: ストラスバーグについて - トレド
2011/05/26 (Thu) 14:07:12
メジャーの投手は日本人と違って、下半身と上半身を上下一体に使って投げているような感じがしますねえ。そこに何か欠点でもあるんでしょうか。
Re: ストラスバーグについて - ishii
2011/06/11 (Sat) 22:12:19
書き込みありがとうございます。
「投げ方が悪いから肩を壊す」
これは経験的にも真理と思われ、多くの方々のコンセンサスも得られると思います。
では、
どんな投げ方が実際に投球障害肩の病変を引き起こすのか?
そのストラスバーグの投げ方が実際に投球障害肩の病変を引き起こすのか?
この問いに答えるために、現在、統計学的手法と力学的手法を組み合わせたシミュレーションシステムの構築にとりかかっています。
現在そのシステムの根幹部についてはほぼ完成しつつあり、その検証作業にとりかかっています。
このホームページ上ではまだそのシステムを掲載していませんが、時期が来ましたらそのシステムを徐々に公開していきたいと考えています。
もうしばらくお待ちください。
Re: ストラスバーグについて - 大橋一弘 URL
2011/06/12 (Sun) 12:53:14
ご回答ありがとうございます。
「シミュレーションシステム」というのが解らないのですが・・・
例えばYouTubeの動画から得た情報をもとにしたダルビッシュの言説についても、何らかの科学的回答を期待できるのでしょうか? だとすれば、実に素晴らしいことだと思います。
折角ですから、Fleisigらの"Kinetics of Baseball Pitching with Implication About Injury Mechanisms"1995につい伺いたいのですが・・・
「リリース直後に44±51N-mの水平位外転トルクが生じていた」とあるのに、リリース時は水平位内転トルクだったとするFeltner&Dapena1986と「だいたい同じ」としたことについては、どのようにお考えでしょうか?
お忙しいのに恐縮です。お時間のよろしいときにお願いします。
Re: ストラスバーグについて - 大橋一弘 URL
2011/06/17 (Fri) 07:30:20
Fleisig論文の件ですが、本人に直接メールして確かめたところ、「水平位外転は水平位内転の誤りである」とのことでした。お騒がせしました。
書き込みありがとうございます。 - ishii
2011/01/15 (Sat) 16:32:04
初の書き込みありがとうございます。
質問に答えます。
最近は下肢の柔軟性の低下が投球障害肩に関連するという報告がいくつかなされています。特に股関節の可動域に関する報告が多いです。
われわれも高校生と大学生を対象にメディカルチェックを行い、投球障害肩との関連性を前向きに調査しました。
すると大腿四頭筋の柔軟性の低下が発症に関与するという結果が高校生にも大学生にも認められました。
その後われわれは下肢の柔軟性のエクササイズを取り入れていくように指導を開始しています。こうした介入結果がどうなるかは今後調査していく予定です。
また今後は筑波大学やその関連企業とタイアップして、選手のためのコンディショニング・スキルアップトレーニングを動画で掲載していくプロジェクトがにわかに発足し、進めている最中です。またご期待下さい。
ホームページについて - 濱口 竜将
2011/01/14 (Fri) 22:52:58
先生メールありがとうございました。ホームページを拝見させていただき、大変驚いています。投球時の肩関節内部の構造がここまで鮮明に表現できているとは今まで考えていませんでした、すごいと思います。また、バックミューッジクも極めて高いアカデッミクな研究成果を、なんとも楽しくわくわくさせてくれるところが先生らしくていいと思いました。
せっかくなので一つだけご質問とご意見をさせて頂きます。
コーチ、プレイヤーのサイトでボディーチェックに踵臀距離を入れているのは何か四頭筋の筋緊張が投球に重要な要素があるとお考えなのでしょうか。
ご意見としましては、ボディーチェック等のもっと具体的で画期的な石井流コンディショニング、スキルアップトレーニングなどを掲載されてあるとホームページがよりすごいものになると思いました。
最後に、正直言いまして、このホームページを見まして、はやく筑波にいって僕も先生の研究にたずさわりたいと思っております。
Ipad - Ipad
2011/01/03 (Mon) 16:46:15
Ipad
g就?